
支援の現場で出合う暴力は,本質的には防止や制圧をするものではなく,クライエント自身が主体的選択として「手放す」ものである。しかし,クライエントは欲求や感情を言葉ではなく暴力という対処行動として表出し,そのことに苦しむ場合でも自ら援助を求めることはほとんどない。なぜなら,援助を求めるとは欲求や感情を言葉で表出することそのものだからである。その結果,暴力を振るうクライエントへの支援は困難を極めることになる。
本書では,暴力の定義,起源,要因を解説し,医療・司法・福祉各領域におけるDVや児童虐待への支援実践を概観しながら,思春期以降の児童から成人までを対象とした暴力を手放すための四つのフェーズからなる支援モデルとセラピストの適切な「ありよう」を提示する。
また,児童による性暴力と施設における暴力についての支援モデルを適用した二つの事例と,最終章で著者が提言する「情理の臨床」を通して,暴力を手放す臨床心理学的支援に迫る。
その他のアイテム
-
- こころの危機への心理学的アプローチ-個人・コミュニティ・社会の観点から (窪田 由紀監修/森田 美弥子監修/氏家 達夫監修/河野 荘子編/金子 一史編/清河 幸子編)
- ¥3,520
-
- ぎゃくたいってなあに? (溝口 史剛監修/青木 智恵子著)
- ¥1,980
-
- 児童福祉施設における暴力問題の理解と対応-続・現実に介入しつつ心に関わる (田嶌 誠一著)
- ¥9,350
-
- 学校現場から発信する 子どもの自殺予防ガイドブック-いのちの危機と向き合って (阪中 順子著)
- ¥3,080
-
- 虐待にさらされる子どもたち-密室に医学のメスを:子ども虐待専門医の日常 (ローレンス R. リッチ著/溝口 史剛訳)
- ¥4,180
-
- CAMS 自殺の危険のマネジメント-治療者と患者の協働 (D.A.ジョブズ著/高橋 祥友訳)
- ¥4,620